最上と沖野

やっと3度目(笑)
終了時間が9時という回なのに、4割がたは入っていた。
男性客が多い。

回数を重ねても、冒頭の映像の美しさと音楽に心を持っていかれる。
音楽と映像に酔っていると、いきなり画面が変わって夢が中断し、ニュース映像で現実にひきもどされる。
私はこの、はっと我に返る感じが好きで、この冒頭のシーンが気に入っている。
そういえばこの感じ、映画の違う場面でも感じたような気がするのだけどどこだったんだろう。

UTAMARUさんの放送を聞いて、いろいろ腑に落ちた。
私は結局原作を読まずに映画を見たのだけど、この映画のテーマが正義とは?というのになんだかしっくりいかない感じがあった
それは、私の理解力のせいかと思ったけれど、原作の結末を変えたことで、そこがなんとなくぼやけたということなんだろう

確かに、あの結末が沖野の勝利で終わったら、
法の下の正義という大義名分のために悪が見逃されたら・・・・自らの正義を貫いた最上が断罪されたら
一体正義とは何なのだという、沖野の葛藤にもつながり、最後の沖野の叫びに共感できる。

映画のでは最後のシーン、沖野の咆哮はいったいどんな気持ちだったのか、いまだにわからない
諏訪部と最上の二人を結ぶのがインパール作戦というのも、今いちしっくりこない

結局監督の訴えたいことは、この国の奥深くに流れているインパール作戦を許した思考が、今も脈々とつながり、いつだって吹き出すのだということなんだろう。
そして、権力が大義のために個人をないがしろにするという思考が最上に受け継がれたという皮肉。
確かにいろいろなことがちりばめられすぎて、わけがわからなくなる


ただ三回目にして分かったことは、最上が奥野の死を知って一線を越えた後から、エンターテインメント性が強くなったような気がすること。
俄然ストーリーが面白くなった
スピード感があり、現実離れして魅力的、映画を見ているわくわく感が大きくなった。
この映画の魅力は、重厚に展開する沖野のストーリーと、スリリングに展開する最上のストーリーがあったからだという気がする。
そしてそのそれぞれのストーリーの主役とそれを取り巻く人々が、本当に魅力的だった。
キャスティングの素晴らしさと、監督の作り上げた人物像の素晴らしさに、ほかのことは大した問題ではない気がしてしまう。
そして、木村君はどんな場面でも目を引き付ける。