ぶった斬りエンターテインメント

私は時代劇で育った世代と言えるかもしれない
映画も時代劇が多かった気がする
大川橋蔵さんのファンだったおばさんによくつれていかれたっけ。
夕食が終わって、家族で見ていた、銭形平次大岡越前大河ドラマは第一回の花の生涯から見ていた(笑)
まぁ時代劇まみれと言っていいほど。
そんな数々の時代劇に胸を焦がし育ってきた私が、久々に大たちまわりを見て興奮しないわけがない

でも、無限の住人は、私が見てきた時代劇とはやっぱり違う
いわゆる本格的時代劇ではないし、かといって痛快チャンバラ時代劇でもない
まるで新しいアクション映画という感じがした
マッドマックスを見たときの衝撃に近いかなと思う。

あの映画を見ていろいろな感想を持つ人がいると思うけど、
私はぶった斬りエンターテインメントと銘打っていたように、そのぶった斬りの部分にすごく惹かれた
思えばとんでもないキャッチフレーズだ。人をぶった斬ることがエンターテインメントだなんて。
でも、あの映画はそんなPTA的な感覚が一ミクロンも入り込む余地がないほど、瞬時に観客を異空間に放り込んでしまうのだと思う
知らない間に異空間の住人になっている観客は、ドスッドスッと人が斬られていくさまを前のめりになってみている。
登場人物は、それぞれに斬る理由があり、斬らざるを得ないからだ。
斬ることは生きることであり、義でもある
だから観客は、その斬りあいををかたずをのんでみまもっているのだ。

あの映画がぶった斬りエンターテインメントといっても、軽くならないのは
演じる役者の捨て身の本気がぶっつかりあったからだと思う。
すぐに切られてしまう端役から主役、さらにはあの極寒の中、氷のような水の中に身を沈めて倒れている死者まで、
すべての役者の本気が、あのぶった斬りを重量感のあるエンターテインメントとして成立させた
すごいことだと思う。

映画を見て、批評するのは自由だし、好みはそれぞれだから、厳しい批評も自由だと思う
でも、もし書く人に本当に映画に対する愛があるなら、きちんと作品を見てからの批評は当たり前のこととして
演じる役者にきちんと敬意を払うべきだと思う。

明日は見に行けるかな。