万次の魅力

結局、映画は応援上映を含めて、10回くらい見たのかな
たぶん今までで最高の回数(笑)
大好きな武士の一分もそんなには、行ってないと思う
なんだかわからないけど、万次さんにやたら会いたくなる。


あのキムタクが・・・と、キムタクのイメージを破った役柄のように言われるけど
私はかえって木村拓哉をひしひしと感じた。
世間でいうところのキムタクではなく、私の知っている木村拓哉


今までの木村君の映画の中で、これほど木村拓哉を意識しなかった映画は初めてだったと思う
それなのに、いつの間にか私は木村拓哉に会いに行っていたんだと、今は思う

圧倒的存在感の万次。
修羅のごとく人を斬っていくのに、万次に人としての恐怖心がわかない
あれだけの人を殺めたのに、血の温かさを感じる万次
最初は斬りあいのシーンの迫力に目を奪われて、万次という「人」に目がいかなかったけれど、何度か見ているうちに万次がとても人間味もある、かわいげさえある人だということに気が付いた
あの斬りあいに冷酷だとか残忍とかいう言葉が思い浮かばないのは、この万次の人としての存在感だと思う

もとはと言えば義に駆られて、不正を働いた(と言われて)役人を切ったような人。
追われる身になって、町を守るためやむを得ず人を斬っていたのだ。
もともと正義感が強く、家族思いの人であったのだろう
そうやって万次の「人」を見始めると、いつの間にか演じる人と重なるようになっていった

なぜ生きることを捨てないのか
なぜ戦うのか。
体中傷だらけで戦う万次は、演じる人の姿と重なった。

監督が、万次は木村拓哉でなければ撮らないといった意味が、見ているうちによく理解できた
万次の人間性、闘い続ける心、戦える力、すべて含めて木村拓哉だったのだと思う。
かくして、万次と木村拓哉が裏表重なった人物として映画の万次は出来上がってきたのだと思う。
そして木村拓哉にそれほど思い入れのない人たちには、原作万次そのものに、思い入れのあるものには木村拓哉が透けて見える万次になっていったのかななんて勝手に思っている。


そして、万次に木村拓哉を重ねたファンばかりでなく、原作者、原作ファン、そして何の偏見もなくこの映画を見た海外の人たち、たくさんの人たちに愛された
それが何よりうれしかった。